注文住宅を建てたいと思ったとき、間取りやデザイン、価格に目が向きがちですよね。
でも、最初の段階でぜひ聞いていただきたいことが2つあります。
✅ 「この工務店、年間にどれくらい建てているのか?」
✅ 「同時に進めている現場では、どんなトラブルがあったのか?」
この質問は、家の見た目や価格ではわからない「現場力や体制の本質」を知るための大きなヒントになります。
「棟数が多い=安心」「実績豊富だから信頼できそう」と思いたくなりますよね。
でも実は、その“多さ”こそが、思わぬ落とし穴につながることもあるんです。
その数に見合った「体制」と「質」が担保できているかどうか
棟数が多い工務店には、実績と安心感というメリットがある反面、
施工品質や対応体制において見落とされがちなリスクも潜んでいます。
ほとんどの方が住宅は一生に一度の大きな買い物のはずです。
「たくさんの人が選んでいる工務店なら大丈夫だろう」と思ってしまいがちですが、
実際には棟数の多さが原因でトラブルが起きることもあります。
現場をいくつも同時に抱えていると、
- 現場監督の掛け持ちによる施工ミスや伝達漏れ
- 安全対策が後回しになる労災のリスク
- 要望が反映されないなどの対応品質の低下
といった問題が起こりやすくなるのです。
“棟数が多い”こと自体が悪いわけではありません。
重要なのは、その数に見合った「体制」と「質」があるか。
つまり、「数だけで判断せず、その裏側を見抜く力」が求められるということです。
棟数が多いということは、それだけ同時に動いている現場も多いということ。
つまり、1人の現場監督が複数の現場を掛け持つことになり、“目が届かない”状況が生まれやすくなります。
また、営業→設計→施工と分業化が進む中で、チーム内の連携がうまくいかないと、
- 設計図のミスや情報の伝達漏れ
- 施主の要望が現場に届かない
- 仕上がりにズレが出る
といったことが起こり得ます。
さらに、忙しい現場では「安全管理」が後回しにされがちです。
実際、複数棟を同時に抱える中で労災事故が起きたという報告もあります。
棟数制限が問題になった3例
🔹 現場監督が不在続きで、変更が反映されず
ある大手工務店では、1人の現場監督が8~10棟を同時担当。
「現場に監督が来ない」「要望を伝えても忘れられていた」という事例が発生し、
最終的に引き渡し直前にカップボードの取り付け位置ミスが判明。
やり直しに数週間かかり、施主側は大きなストレスを感じました。
🔹 多忙による安全軽視で労災も
ある地域密着の中堅ビルダーでは、同時進行の現場で安全帯未着用のまま足場から転落事故が発生。
現場管理者が別現場に行っていて不在だったため、初動の対応も遅れ、結果的に重大な労災となりました。
🔹 監督の人手不足が工程遅延につながる
多棟数をこなす工務店で、監督不足のため中間検査や是正対応が大幅に遅れ、
引き渡し時期が1か月以上延びたケースもあります。
施主側は引越し予定の変更を余儀なくされ、金銭的・精神的にも大きな負担に。
まとめ
棟数が多い工務店=信頼できるとは限りません。
だからこそ、数の裏にある「体制」と「現場対応力」を確認することが大切です。
家づくりの打ち合わせ時には、ぜひ以下のような質問をしてみてください:
- 「1人の現場監督が同時に何棟くらい担当していますか?」
- 「要望や変更が現場に伝わる流れはどうなっていますか?」
- 「同時進行によるトラブルが起きたことはありますか?」
これらの質問に対して、具体的かつ誠実に答えてくれる工務店は、信頼に値します。
棟数の多さに安心する前に、その中身と対応力をしっかり見極める
それが、後悔しない家づくりへの第一歩です。